2010/07/04

Past Present Future!

現在は過去からのプレゼント。

どう見ても偽物のミッキーマウスの黄色い陽庇しに「恋の町サッポロ」の文字。
略して「恋町」
裏風俗街に構えるらーめん屋。営業時間は19時から朝まで。
店内は、今抜いて来たサラリーマン、酔っぱらい、日本国籍じゃないホステスのカオス。
僕はいつも「味噌と餃子と瓶ビール」を頼むんだけど、いつも50円安くしてくれる。

子供の頃から通い、年頃になり夜の街で働いていた時もアガリは決まって「恋町」だった。
23歳の時会社を興し13年掛けて少し大人になった今でも徹夜のアガリは「恋町」だ。
不意のファイトにより右拳を粉々にした時でさえアドレナリン全開で「恋町」で乾杯。
どこからの情報か、僕が会社を経営している事を知り、こんな入れ墨だらけの若造の僕を
「社長!」って呼ぶから、いつも店中が振り向いて少し恥ずかしかった。

僕の気持ちが疲れてるのを察すると...
「ぎょうざ食べるかい?」と冷凍ぎょうざを持たせてくれたっけ。

僕はあまり同業者から刺激を感じない。
どちらかと言えば異業種のプロ意識を自分に重ねる方が「やる気」を掻き立てられる。

つい先日、開店前の店の前を車で通ったら、カウンターに腰掛けタバコをフかす親父。
半分消えた灯りに照らされハイコントラストで格好良く見えた親父を写したいと思った。

そんな「恋の町サッポロ」のマスターが死んだ。
激動のこの街で30年以上走り続けた親父が急死した。
仕込み中の厨房で倒れ冷たくなってた。
親父は生涯「恋町」だった。生業を全うし自分のステージで死んだんだ。

今思えば僕は親父の名前すら知らなかった。
でも、遠くの親戚の悲報よりとても悲しいと感じたのは事実で。

今日も精一杯頑張ろう。